序 章
−1−
「どうして…」
少年は頭の中で呟きながら反芻していた。
狭い部屋の隅で少年はうずくまっている。
「どうしてこんなことに…」少年は昨日のことを思い出そうと必死だった。
もっとも少年にとってはすでに一月以上前のことだった。
「どうしてこんなことになった、思い出せない…」少年は今日という今を毎日繰り返していた。
来る日も来る日も、毎日毎日、同じ日を繰り返している。
少年はこの経緯を思い出せずにいた。
「もういやだ…」
少年は死を覚悟していた。
「もう分からないよ…」
少年は部屋の対角にぶら下がっているロープを見やった。
「……今度こそ」
少年は立ち上り、ロープの前へと歩み寄った。足元には椅子が用意してある。
「……終わりに…」
少年の顔には覚悟の色が見える。それにはもはや恐怖を超越したものがあった。
ゆっくりと椅子へと乗るとロープを握り締める。
そして……ガタンッ!!
「…………」
[序 章・第二節]