「児童販売機」
著者:ポリープ袴田



 駅を降り二人、スクランブル交差点を抜け、ふと一息、
「ちょっと咽喉が渇いたわ」と、一言。
 二人の目前には自販機が一台、コールド、ホット、人肌と、
「超ウケルんだけどー」と、一言。
 コインを三枚、男は入れ、押すは勿論、最後者。
「ンド!」と、一音。
 落ちてきたるは高さ四十センチ、無味透明なる缶、中には赤子。
 ラベルに文章
「コールド押したる者には冷たきものを、ホット押したる者には温かきものを、そして人肌押したる者には育児という崇高なる責任を」




[終]