「サクラサクマエニ」





 きんわり ぎんわり

 吹き抜ける 冬の風が

 耳の先にぶつかって

 痛みを覚える頃


 こぼれおちた マフラーの先を

 かけなおしても


  あと何度 こんな思いをするのだろうと


 こぼれおちる 涙の先を

 すくいあげることができずに


  あと何度 こんな思いが出来るのだろうと


 電車のガラスに 砕けた光が

 映しだす

 歪みと失望と 達成感と疲労とを


 入り混じる面持ちの 自分の顔を

 初めて 頼もしく

 映し出す


 そんな 春