141 "砂"


 さらさら 零れ落ちては

 足をくすぐる はやりうた


 風に吹かれて 舞い上がり

 時には 嵐になって

 人々を 巻き込みながら


 届かぬ思いを あの人へ

 熱狂の瞬間を作り上げ

 破れた恋を 慰めては

 明日への希望を 高らかに掲げて


 つむがれたうたはもう

 幾千幾億 砂粒の一つ

 ひとたび 地表に落ちたなら

 もはや音に代わって

 うたわれることもなく

 時代の地層に埋まりながら


 二度と吹かない風の あの心地よさを

 思い出に眠る はやりうた