「153_静寂」


 そこは 音のない 世界

 何もかも 時を止めたように静かで

 何一つ 動くことのない

 そんな場所


 水の流れも 風で揺れる木々の葉ずれも 鳥の声もない

 朽ち果てて死んだ 一枚の絵のように


 そんな世界に もう

 ずっとこうしていて

 高く青い空だけが

 白い雪の瀬を埋めている


 自分の血の巡りも

 呼吸さえも聞こえず

 骨になった身を ただ地に伏して

 春が来るのを待っている


 ああ そうか

 真なる静寂に立つということは

 自らの心を その空洞に捧げなければ

 降り立てない 場所なのだ