「四丁目の喫茶店」
著者:蓮夜崎凪音(にゃぎー)



「あ、もしもし。ケイタ?」

「おー、エミじゃん、久しぶりー。どしたの?」

「あのさ………今、ちょっとだけ、時間ある?」

「え、別に平気だけど?
 すげぇ偶然だなー、今さトウタと一緒にいんだよねー。覚えてる?」

「え、そうなの?」

「そう、あのトウタ。懐かしいっしょ?」

「へー………」

「なに、エミって今何してんの?」

「友達とお茶、してる途中」

「そっかー、それじゃこっち来くればなんて言えないなぁ。元気してんの?」

「今のところなんとか平気だよ」

「うんうん。お互い元気なのはいいことだぜ。なんつってなー」

「ケイタ」

「え、なに?」

「さっきのメール、見てくれた?」

「………おう、なんか大変なことになってんな」

「うん」

「そんな悪いのか?」

「もうちょっと早ければ、って言ってたね」

「そこまでかよ………」

「確かに最近あんまり、調子は良くなかったかも………」

「…………エミ」

「夏が終わって涼しくなれば………しばらくは凌げると思うけど」

「………」

「ごめんね、それだけ、お願い………じゃあね」

「分かった………じゃあな」




「ふー………」
「はぁ………」
「二人とも、おつかれさま」
「おう、わりぃな。エミから電話なんて久々だぜ。来週なんかやるってさ」
「おー、何すんの?」
「しらね、講義中だったらしくて、内容話す前に教授に捕まって切れた」
「エミは相変わらずね………」
「カナコは誰と話してたん?」
「ああ、弟。牛乳買ってってメール送ったんだけど、あいつすぐ忘れるからさ」
「念押しってわけか」
「そーゆーこと。あー、しゃべったらなんかお腹すいちゃった」
「おう、そういや待たせちまったな、トウタ。何頼もうか」
「いいや、全然退屈しなかったよ」
「え?」


「………こういう偶然ってのも、なかなかないねってことさ」




[ ←←← 中篇 ]