「My Owner is Excellent!!」
著者:創作集団NoNames



−4−

「!!!?」
突然、蒼い稲妻のような衝撃波がドランブイに襲い掛かる。
ドランブイはあわてて、腕の炎で相打ちにしようとする。
「ググッ」
石の床がえぐれる程の衝撃をドランブイは受け止めた。
「今だ」
この時を逃してはなるまいと、シャルはカシスを抱きしめドランブイから離れる。
「パリン」
やや遅れて、窓ガラスが割れる音がやってきた。
「くそぉ、音速を超えた衝撃波だと。司教しか使えないワザを…いったい誰だ!」
ドランブイは窓の方に目をやる。
そこには一人。窓の欄干に立つもの。闇に紛れる黒に月明かりの空に映える金と白の刺繍の法衣。
「私のかわいい弟子たちに手を出すようなら前と変りませんな」
欄干から飛び降り、二人の下へ駆け寄る。
「父上!」
「シャル、良くぞ無事であったな。術を使うのが遅れていたら転生の儀が起きてしまうところであった」
「父上、よくここが分かりましたね」
「私を呼ぶ声が聞こえたのだ。おそらくカシスのな」
「……おい、貴様ら」
予期せぬ奇襲に吹っ飛ばされたドランブイは怒りのボルテージが頂点に達していた。
「……ちょうど司教が全員揃ったな。こいつは手間が省けてちょうどいい」
「どういうこと」
一人状況が飲み込めていないカシスは怪訝そうな顔をしている。
「いいですか」
シャルはそう言って、カシスを下ろして言った。
「驚かないで聞いてくださいね。カシス、あなたはグリーティア教の司教なのですよ。そして私の父はベルランス教の司教なのです。ずっとあなたには黙ったままでしたね。これがあなたに隠していたことです」
「…………司教………私が……」
今日、詳しく勉強した宗教。かしすがその司教だと知ったカシスは、だんだんとその受容性が分かってきた。
「だから、シャルはずっと守ってくれたのね」
カシスは重要さにたじろぐどころか、合点がいったような表情で言った。
「さあ、余興はそれぐらいでいいかな。貴様らに我らが恥を味わってもらおうか」
ドランブイは鼻息荒く言った。
「そんなの変じゃない!!」
カシスは叫んだ。
「神様は争いを生むために人間を作ったのではないはずよ!!」
「でも、実際にグリーティアがアンゴスチュラの神力を封印しているのだよ。貴様は何も分かっていないな」
ドランブイは笑っていった。
「それは………アンゴスチュラの作る人間が周りの人々に迷惑をかけたからよ。教科書にはそう書いてあったわ」
「だが、洞窟の中にある『真実の創世記』にはそう書いていないぞ」
ドランブイは機嫌が悪そうに言った。
「…ウフン」
ベルランスが割って入る。
「……今となっては真実がどうなのか、本人がいないために確かめる方法がない。だが、その本は洞窟の中でかかれたものであろう。外のことは分からなかったはず。それにアンゴスチュラの主観で書かれている」
「ああ。そうかもしれない。それがどうした」
「ここにベルランス神が残した手記があるのだよ。代々伝わるものだ」
―それによると―




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