「ウツクシキニセモノ」



 美しき偽物

 それは時に 醜い本物をも凌駕する

 しかし偽物が 偽物である本質は

 本物を越えられない その一点の運命にある


 本物と偽物は何が違うのか

 そして どれほどの差があるというのか

 僕等は誠に 哀しいことに

 それすらをも知る術を持たない


 嗚呼 いったい今 僕達のどれほどが

 本物だというのだろうか



 転がる模倣の群を掻き分けて

 今日は僕もひた走る

 本物に似せた 模倣の向こう側へ

 それがさらなる 偽物の一つだと

 今は 気付かなくても