「きせき」




 奇跡にすがるキモチは分かるけれど


 奇跡を信じてどうするのか



 それは 起こるべくして起こること

 ひと風情が祈り 崇め 信じた所で

 到底たどりつくことのない必然の運命


 それは 積み上げた研鑽の上には必ずしも付随せず

 片一方の望みを叶え

 片一方の夢を打ち砕き

 当人が望む方向へ昇華して進んだ稀有な主観に対する呼称


 わたしにだって

 まぐれと偶然と奇跡の区別なんてものがつくわけでもない

 けれど


 人の努力が実った結果を

 分の悪い勝負を覆した諦めの悪さを

 涙と共に勝ち取った栄冠を


 全て奇跡とかきたてるしか能のない 僕らは


 いつまで 語彙のない子供なのだろうか