316 "あのころ"



 今日が あのころと 呼ばれるのに

 どれくらいの年月が 必要なんだろう


 早く 笑い話に なればいいのに

 何にもなくなって からっぽになった

 心は全部 涙になって 流れ落ちてしまったのに



 体は影に支えられながら ようやく

 ずるずるりと 地面を舐めるように

 人生という名の 歩調は緩むことなく

 ただ過ぎ去る時が あのころと呼ばれるまで