353.届け



 それは 願いにも似た 祈り

 踏み出した位置からも はるか遠く

 それなのに 絶対にも まだはるか遠い


 残り 零秒の攻防

 手を離れた その瞬間に

 ボールは 願いから祈りへ昇華する



 宙を舞う 祈りに祈りが積み重なり

 終了を告げる 無情の鐘


 誰が名づけたのかわからない その名前



 砕け散った希望を掻き集めて 叫ぶ

 この行為に 何の意味があるのか

 それすらも分からずに



 届け

 それは 願いにも似た 祈り

 踏み出した位置からも はるか遠く

 それなのに 絶対にも まだはるか遠い