358.個性


 個性というのは

 本質が本質たる「譲れない部分」の一端ではなかろうか


 一通りの基礎を 識り 学び 使い

 そこから なお 滲み出るものこそ

 個性であると 私は考えてみる



 基礎を軽んじ 歪んだ特徴を履き違えたまま

 いつの間にか私の首に ぶらさがっている

 『没個性』と言う名前のプレートに

 矛盾した皮肉を かろうじて 感じている


 人生の基礎を 学びなおす勇気も

 小さなミスも 過ぎてゆく日々を振り返る時間も

 与えられることが許されずに


 画一化された金型に 個性の端を切り捨てられ

 人は今日も こんな社会の虚勢と見栄の間を 必死で潜り抜けている