「とある休日」
著者:白木川浩樹(とぅもろー)



「にゃ〜にゃっにゃ〜♪にゃにゃにゃっにゃ〜♪」
「……なぁ、ちょっといいか」
「ん〜?ご飯ならもうちょっとかかるよ〜」
「いや、そうじゃなくて」
「にゃ?」
「その頭の悪そうな歌は一体何だ?」
「何って、結構有名でしょ?この時期よく流れるし」
「メロディは知っているが、その歌がにゃーにゃー言ってる所を聴いたことは一度もない」
「あ〜、これはホラ。アレだよ」
「何だ?」
「え〜っと、…………そう、鼻歌!」
「…………お前の鼻はどこについてるんだ」
「い、今のは間違えたの。……替え歌?」
「疑問形で答えるくらいなら、素直に歌詞を知らないと言ったらどうなんだ」
「うぅ。だって言ったら笑うでしょ? こんな有名な曲も知らないのか、って」
「心配ない。もう笑うのを通り越して呆れ果てた」
「酷いこと言われてる気がする」
「そう聞こえたのなら、そうなのかもな」
「む〜」

「大体、知らないのなら歌わなければ良いだろう」
「だって、さっきテレビで流れてたから」
「歌いたくなった、と」
「うん」
「……もう歌うな」
「えっ、何で!?」
「気が滅入って仕方がない」
「この曲好きなのに。いい曲じゃない〜」
「ならちゃんと覚えてからにしてくれ。落ち着いてレポートができない」
「わがままだなぁ」
「提出期限ギリギリになってレポートの手伝いを頼むやつよりはマシだな」
「はうっ」
「ったく。大体なんでこんなに溜め込むんだよ」
「え〜っと。ちょっとばかしショッピングしたり映画見たり家でゲームしてたら……って、なんで帰る支度してるのさ!」
「せっかくの休日にこんなことをしてる自分が情けなくなってきた」
「どうせ家で寝てるだけじゃない。不健全だよ」
「そうだな。それならまだ昼だし、これからどこかに出かけることにする」
「わわっ。ちょっと待ってよ」
「レポートの続きは一人で頑張ってくれ。じゃあな」
「ごめんなさい。私が悪かったです。お願いですから手伝ってください」
「はぁ。ホント仕方のないヤツだな」
「やったぁ。キミならそう言ってくれると信じてたよ〜」
「……やっぱ帰る」
「わ〜!待って、待って!」

「さて、続きをやる前に一つ言うことがある」
「ん〜? 何?」
「なんかコゲ臭いんだが」
「うわぁ〜!忘れてた〜!」
「…………今日の昼飯はコンビニ弁当にするかな」




[終]

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