「倦怠期」
著者:白木川浩樹(とぅもろー)



「う〜ん……」
「便秘か?」
「ちょっ、いくらなんでも女の子に言うセリフじゃないよ!?」
「自分でも今のはどうかと思った」
「実はちょっと考え事があるの」
「……大丈夫か?」
「熱を測るなぁ! 私だって考え事するくらいあるもん!」
「わかったわかった。とりあえず落ち着け」
「う〜」
「わざわざ人の家で何を考えてるんだ?」
「昨日友達から相談を受けたんだけどね……」
「何を血迷ったことを」
「……怒るよ?」
「冗談だ。それで、どんな相談だったんだ?」
「最近彼女さんと上手くいってないんだって」
「ほう」
「それでどうすればいいかなって聞かれて」
「なるほど」
「そういうのってどう思う?」
「とりあえず言えることが一つ」
「えっ、なになに?」
「やっぱり人選ミスだ」

「おーい。まだ落ち込んでるのかー」
「いいもんいいもん。どうせ私は頼りないもん……」
「部屋の隅で体育座りされると鬱陶しくて仕方がないんだが」
「だって落ち込んでるときはこうするって、マンガに描いてあったし」
「結構余裕はあるんだな」
「あ、そうだ!」
「おぉ、立ち直った」
「私がその友達とくっつく素振りを見せて恋のスパイスを演出! ってのはどう?」
「いや、俺に聞かれても」
「ドラマでもよくあるパターンだし、私にしてはグッドアイディア」
「で、具体的にはどうするんだ?」
「むぅ。そこが問題なんだよねぇ……」
「問題点出てくるの早いな」
「女の子同士ってどんな感じなんだろう?」
「……ちょっとまて」
「私おレズさんじゃないし、でもちょっと背徳的?」
「その相談にきた友達って女なのか?」
「うん。友達も、その彼女さんも女の子だよ」
「まあ彼女ってくらいだから、そっちが女だってのは分かるが……」
「世の中いろんな人がいるからねぇ」
「おかしい人代表はお前だと思うけどな」

「作戦成功しました〜」
「……あぁ、あのカップルのことか」
「三人で遊びに行ったらね、いつの間にかラブラブになってた」
「お前の作戦は関係ないような気もするが」
「結果オーライだよ」
「まあいいけどな」
「それで別の友達から相談を受けたんだけど」
「また彼女と上手くいってないとかか?」
「うん。今度は両方男の子なんだけどね」
「うわ……」
「私じゃよく分からないから、ここは……」
「やらないからな! 俺は絶対に手伝わないからな!」




[終]

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