「だって悲しいじゃないか」



 だって悲しいじゃないか

 もし君が振り返ってしまったら

 昨日のさよならが今日に繋がらないでしょ

 もしそこに僕が居たとして

 改札口で偶然すれ違っても

 アパートの前で思い出されても

 まだ僕が 君の心に居たのなら



 だって寂しいじゃないか

 もし僕が振り返ってしまったら

 今日のさよならが明日に繋がらないでしょ

 もしそこに君を見つけてしまったら


 僕だったらそう思う


 僕の腕をつかんで 爪を立てて泣いた君だから

 きっと苦しかったよね

 苦しかったんだよね



 だから僕は ここにはいない

 君が改札口を通っても

 僕は君を見送ることはしない

 君が間違って 振り返ってしまうようなことがあっても



 君が角を曲がってしまうまで

 君がドアを閉めてしまうまで