「シュプレヒコオル」




 人はどこからともなく

 集い 集まり 集合する 生き物だから


 互いに似たものを 見つけるため

 考えの違うものを 忌み嫌うため

 培った涙を 他人に押し付けるため

 理解されぬ苦しみと寂しさを

 分かち合うため


 どこからともなく 聞こえてくる



 いつまでも鳴り止まない 音の群れ


 それは高らかに叫ばれる 一瞬の熱意

 それは疎外への恐怖で人を縛る 鉄の規則

 それは種明かしもない 詐欺の常套手段

 それはきっと 一人では何も出来ない

  寂しがり屋たちの 断末魔の叫び声



 誰もが加害者で 誰もが被害者

 そんな舞台の 端っこで

  私は  誰を愚かと 泣けるだろう


 いつか時代に 愚かと呼ばれても

  私は今 誰を愚かと 笑えるだろう