「夕立の後で」







 短い夕立の後

 濁った夕暮れを見たら

 急に 心細くなって

 そっとあなたに くちづけた


 蒸し暑いままの

 終わりかけた夏の午後

 響く蝉の音 ざわめく街

 今は階下に 置き去りにして



 時が止まったような 静けさを

 怖いと思うのは これが二度目



 何も怖いことはないと

 頬を滑る 涙を止めて

 緩んだ 赤い糸を結び直したら

 もう一度 微笑ってみせる