「夏の残骸」




 夏よ

 いっそひとおもいに 殺してくれと

 地面をのた打ち回る

 蝉の群れ


 苦悶に満ちた呻き声が

 短く そして長かった

 夏の終わりを予感させる時


 どこかで色の変わった風が

 先にアスファルトの上で燃え尽きた

 魂を柔らかくさらいはじめる



 夏よ

 そして おまえは今年もまた

 私を殺さずに 一人で行ってしまうのか